当研究室は、”新物質”の”構造”を”科学”する研究室です。新物質とは未知の物質という意味だけでなく物理的に新しいという意味も含まれます。テーマとして超伝導体、磁性体などの基礎分野から誘電体、太陽電池などの応用分野まで様々な物質を対象に選ぶことができます。ただし応用と言っても材料の基礎学理を明らかにすることを目的としています。専門分野としては構造物性と固体化学になります。構造物性研究とは、物質の結晶構造を詳細に調べることで、その物質が示す興味深い物性の起源を明らかにするという分野です。全国共同利用の運営を行っているX線測定室の回折計の他、放射光、中性子など量子ビームを用いた様々な先端実験も行います。固体化学研究とは、合成と物性測定を通じて物質の性質を明らかにする仕事です。そのための物質合成設備も豊富に整っています。

研究は以下のスタイルで行っています。

■構造物性研究
私たち研究室では、物質研究の基本情報である構造を極めることで、物質の真の姿を知ることを追求しています。実験室系だけでなく、放射光X線、中性子などの量子ビームを用いたマルチスケール先端解析から、結晶構造、電子密度、ドメイン構造、磁気構造、ナノ構造、励起状態を統合的に議論するマルチモーダル物質構造科学研究を行い、新しい物性物理の探求や、社会変革をもたらす材料の機能発現機構の理解を進めます。解析の効率化のためのソフト開発も行ないます。応用材料の研究は、文部科学省のデータ創出・活用型マテリアル開発プロジェクト(マテリアルDX)、D2Mate拠点のメンバーとして行っています。

■固体化学研究
「美構造、美対称性には美しい物理が宿る」をモットーに構造物性の観点からの無機結晶作製も行います。APIを用いたデータベース利用や自らの電子状態計算を組み合わせた探索も行います。得られた試料について基本的な物性(電気、磁気、熱、誘電物性)測定を行い、特性を明らかにします。

■構造解析法の開発
実験目的に応じて、測定手法や装置開発(工夫)も行ないます。低温高圧下迅速X線単結晶構造解析装置の開発、高圧下高精度粉末構造解析薄膜構造解析法など。